自動運転って5Gにならないとできないの?

近年、自動運転車の開発が急速に進んでいます。その際よく耳にするのが「5G」という言葉。5Gは次世代の技術のことで、従来の通信技術に比べ、通信速度の向上や通信時のタイムラグ減少が期待できるとして注目を集めています。ここで気になるのが、「5Gが無ければ、自動運転は実現できないの?」ということ。今回は、そんな疑問を解決していきます。

自動運転技術の種類


一口に自動運転と言っても、用いられるシステムによって自動化の範囲が異なります。

安全運転支援システム(技術的難易度:低)

ドライバーへの注意喚起や、加速・操舵・制動のいずれかの操作をシステムが行います。テレビCMなどで紹介されている緊急自動ブレーキ技術は、この安全運転支援システムに該当します。自動車の運転にはドライバーの存在が必要となり、運転による事故やトラブルの責任はドライバーに求められます。

準自動運転支援システム(技術的難易度:中)

加速・操舵・制動の複数の操作をシステムが一度に行う状態、または全て操作をシステムが行う技術を指します。追従・追尾システムや準自動パイロット技術、自動パイロット技術などが該当します。自動パイロット技術のように、加速・操舵・制動の全てをシステムで行い、システムが要請したときのみドライバーが対応する場合、システム要請前であれば、運転責任はシステムが負います。

完全自動運転システム(技術的難易度:高)

加速・操舵・制動の複数の全てにおいて、ドライバーが操作を行わない状態を指します。完全自動運転車(AV)などが該当します。準自動走行システムと大きな違いは、自動車の運転にドライバーが全く関与しないこと。ドライバーではなくシステム責任となるため、実用するには、システムの精度や通信の安定性や速度が重要なポイントとなります。

5Gとは


完全自動運転を実現するためのカギとされているのが、「5G」です。5GのGは「Generation(世代)」のことで、「モバイルネットワークの第五世代技術」を意味します。つまり、5Gは、現在の日本で通信システムの主流となっている4Gに次ぐ新しい通信技術ということになります。

5Gの特長

5Gには、大きく分けて3つの特長があります。

1. 高速大容量通信が可能

5Gの通信速度は最大20Gbpsと言われています。これは4Gの約20倍、LTEとの比較においては約100倍にもなる圧倒的な通信速度です。

2. ネットワーク遅延が生じにくい

データの送受信時にタイムラグが発生しにくいのも5Gの特長です。遠隔医療や自動運転など、コントローラーから通信回線を介して端末を操作した際、タイムラグが生じない綿密な動きが求められる分野において、特に活躍が期待されています。

3.多接続に対応できる

5Gは1㎢あたり100万以上もの機器を同時に回線へ接続できるとされています。モノとインターネットが繋がる「IoT」という概念が急速に普及し、パソコンやスマートフォン以外にも、通信回線を利用した製品が続々と登場しています。当然、同じタイミングでインターネットに繋がる製品が増える程、回線の負担は大きくなります。5Gでは、IoTの普及に合わせ、多くの機器が同時に接続されても通信負荷に耐えられる仕組みが用意されています。

完全自動運転と5Gの関係


では、完全自動運転において、どのようなシーンで5Gが活用されるのでしょうか。

車載センサー

完全自動運転の実現において、最も欠かせない技術が車載センサーです。完全自動運転車の場合、センサーで周囲の状況を把握し、集めたデータに従って自動車をコントロールします。そのため、レーダーや超音波センサー、ビデオカメラなど、様々な機器を同時に稼働させる必要があります。複数の機器が正常に作動するためには、5Gの「高速大容量通信」と「多接続」という機能が欠かせないのです。

車車間通信と路車間通信

数年以内には、通常の有人運転自動車と高度な自動運転車に、車車間通信と路車間通信が搭載されるようになると言われています。これが実現すると、自動運転車は周囲の道路や交通の環境を、より詳細に把握できるようになります。大容量のデータを素早く送受信し、データ通信のタイムラグを発生させない5Gの特性を活かすことで、自動運転車は車載センサー以外からもリアルタイムで必要な情報を受信し、瞬時に判断を下せるようになります。このことから、5Gの活用が、自動運転の安全性を高めるポイントであることがわかります。

AIによる学習機能

道路では、急な飛び出しや落下物など、常に予測不能な事態が起こります。だからこそ、完全自動運転車の実用には、周辺環境の変化を察知し、適切に判断・応答するAIが必要不可欠。自動運転車が遭遇した状況に関するデータを集めて解析し、アルゴリズムを改善することで正確かつ安全な自動運転が実現します。この改善されたアルゴリズムを同期して他の自動車に転送することができれば、搭載されたAIが他の自動車の運転経験からも学べることとなります。データを迅速かつ効率的にやり取りできる5Gを活用し、自動車をインターネットに繋げれば、完全自動運転車の機能性を高められると期待されています。

自動車は「Connected Car (つながるクルマ)」 へ


「Connected Car」とは、携帯電話によりインターネットに接続された自動車のことです。自動運転だけでなく、ドライバーの運転特性に応じて保険料の設定を行う自動保険や、車載センサーを活用したメンテナンスサポートなどの新たなサービスの展開が期待されており、アメリカやドイツではConnected Carに関連する国家戦略も進められているのだとか。こうしたことからも、今後、5Gは自動車産業と切っても切れない関係となるでしょう。

完全自動運転の市場化はいつ頃?


政府は、非遠隔型の完全自動走行システムが民間企業によって市場化される目標時期を、2025年に設定しています。また、世界経済フォーラムは、近年の研究において、2026年には米国の自動車の10%が無人運転車になると予測しています。完全自動運転が当たり前の時代となるのは、そう遠くないのかもしれません。

5G×自動運転は未来への第一歩


5Gと自動運転技術の開発が進むことで、観光や福祉などの多様な分野の発展にも繋がるとされています。その理由は、5Gによる高速・大容量・低遅延のインターネット通信と、自動運転の高度な地図データベースや緊急停止などのセキュリティ技術が、様々な自律型モビリティシステムにも応用できるためです。完全自動運転が実現すれば、自律型電動車椅子や自律ロボット、ドローンなどの開発進んでいくでしょう。そうした意味では、5Gと完全自動運転は、まさに未来への第一歩とも言っても過言ではありません。

さいごに

5Gが無ければ、完全自動運転の実用化はできません。5Gが一般に普及するようになれば、自動運転の開発も一気に進むのではないでしょうか。5Gの商用サービス時期については、これまで「2020年を目処に」と言われていましたが、2018年~2019年に前倒しする計画を発表する企業も出てきています。5Gを活用したサービスや、完全自動運転車の開発に参入する企業も増えているので、今後も目が離せませんね。

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